<もはやなにも残されていなくても> 2021/07/01 20:48 Share on Facebook Copy URL 신고 <もはやなにも残されていなくても>そのとき、ある思いがわたしを貫いた。何人もの思想家がその生涯のはてにたどり着いた真実、何人もの詩人がうたいあげた真実が、生まれてはじめて骨身にしみたのだ。愛は人が人として到達できる究極にして最高のものだ、という真実。人は、この世にもはやなにも残されていなくても、心の奥底で愛する人の面影に思いをこらせば、ほんのいっときにせよ至福の境地になれるということを、わたしは理解したのだ。(夜と霧より)